「ジョン・ウィック:チャプター2」から考える会社の変なルール

ジョン・ウィック:チャプター2」が、2017年7月、日本公開されました。

 

劇中で、キアヌ・リーブスが演じるのは、ジョン・ウィックという名の伝説の殺し屋です。この主人公は、コンチネンタルという殺し屋達のギルド(同業者の自治団体)に属しています。

 

このコンチネンタルは、世界各地で殺し屋達が休息するためのホテルや、武器の調達、情報収集などのサポートを行う巨大な組織として描かれているのですが、この組織には、厳守すべき掟があり、ひとつは「コンチネンタルのホテル内で仕事(殺し)の禁止」と、もうひとつは「血の誓約は必ず実行せなばならない」というもので、このルールを破ったものには、死の制裁が待つという厳しさです。

 

この2つのルールに翻弄されることになるのが、キアヌ・リーブスこと主人公のジョン・ウィックなのですが、映画の詳細については、専門的なブログにお譲りするとして、僕は劇中に出てくる「独自の決まり事」という視点から、日本の会社が定める、変なルールについて書いてみたいと思います。

 


映画『ジョン・ウィック:チャプター2』予告

 

| 会社の定める変なルール

自動車部品を作る業務を請負っている下請け企業で目にすることが多いのですが、納品先である自動車会社が作る車種で通勤している人は、会社の近くの駐車場を利用してよいが、他社の車種で通勤する人は、会社から離れた、遠くの駐車場を利用しなければならないという、そんなルールを定めている企業を目にします。

 

そのような企業に伺ったときには必ず、なぜこのようなルールを定めているのかを質問するようにしているのですが、発注元である自動車会社のおかげで会社が成り立っているだの、近くに停めたいのであれば発注元の自動社会社の車を購入すればよいだの、下請け根性丸出しの返事が返ってくることが多く、また質問に答えてくれる方々も、何を当然のことを質問しているんだ、という雰囲気です。

 

| 変なルールは「採用」を苦戦させる 

始業の1時間前には出社して社内の掃除や雑務をするルールや、終業時間になると、タイムカードを一旦押してからサービス残業を始めるなどの、完全に労働基準法上の問題があるような規則を設定している黒い会社は別にしても、通勤の車種によって駐車場の場所を変えるようなことは、その会社の人事にとって、メリットがデメリットを上回っているのでしょうか。

 

社員採用を行うという観点からいえば、明確に「デメリットしかない」というのが答えです。

 

理由を簡単に述べてみます。社員の募集を行う際に、他車種に乗っている求職者からすれば、近くの駐車場に停めれないというのは、不利益しかありません。

 

仕事が少ない時代であればいざ知らず、これから将来に渡って採用が難しくなる一方の現在において、他社の車に乗っているから遠くに停めろなんて規則がある会社は、求職者から見れば、駐車場ひとつにこんな規則があるのだから、入社したらどんな理不尽な規則を押し付けられるのか分からないと判断され、選択肢から排除されるだけです。

 

その辺りを理解している経営者の企業では、社長を含め会社の上層部の駐車場を、あえて端の方にし、建屋近くを社員達に開放することで、社員を大切にするという雰囲気を作っている例もあります。 

駐車場の一件を見た時に、求職者はどちらの企業で仕事をしたいと考えるのでしょう。このような変なルールを社内で作っていないか、採用に苦戦している企業の経営者や人事担当者こそ見直してみるべきだと、「ジョン・ウィック:チャプター2」に出てきたルールから連想し述べてみました。

 

ジョン・ウィック:チャプター2の感想

主人公、ジョン・ウィックは、「掟」という仕組みから自由になることを望み、決まりに背いた為に、より仕組みに絡み取られ自由を失うことになるという結果を招きます。

 

仕事でも、会社から独立してフリーになって自由を得たつもりでいたのに、気が付くと会社にいた時よりも不自由になっていた…。そんな話はよく耳にします。

 

映画を観ているときでさえ、人事の出来事に関連付けて考えてしまう僕自身も、人事という魔物に絡み取られている一人なのかもしれません。