「Google for jobs」で変わる日本の転職市場

Googleが、ついに求人検索の分野にも参入してきました。

 

現時点(2017年7月)ではアメリカのみのサービス開始ですが、GoogleのCEOであるピチャイ氏は、ゆくゆくは他国でも利用できるようにすると語ってますので、日本でも将来的には、サービスが利用できるようになると思われます。

 

今回は、この「Google for jobs」が日本でサービス開始になったときに、求人活動がどのように変わってくるのか、私見を述べてみます。

 


Find your next job, with Google

 

Google for jobsの基本的な仕組み

まずは簡単に、「Google for jobs」について説明してみます。

 

この仕組みは、Googleが求人に関する独自サービスを行うものではありません。

ネットに掲載されている様々な求人情報をGoogleが集約し、求職者の希望する労働条件に合う個別の求人案件(求人サイトや企業ホームページなど)に誘導してくれるサービスです。

 

尚且つ、希望条件に合致する求人情報が新たに出てきたときには、随時メールで通知をしてくれる至れり尽くせりの仕組みです。

 

 

| 日本のネット求職の現状 

通常、求職者がインターネットを使って仕事を探す際には、リクナビマイナビタウンワーク、indeedなどの求人サイトを利用したり、企業ホームページの募集要項から応募することが多いですが、表示された求人内容の精査や、ひとつひとつに情報を入力をするといったような地道な作業が必要になります。

 

そして、この作業が実に面倒です。

 

例えば、求人内容を確認するだけでも、複数のサイトに求人を出して目につきやすい企業もあれば、特定のサイトにしか求人を出していない企業もあります。この為、多くの求人を比較してから応募しようとすれば、複数のサイトを小まめにチェックする必要が生じ、求職者からすれば面倒なことこの上ありません。

 

この求職者が行う一連の作業を、Googleでは無駄な手間と考え、一元的に求職者に仕事を案内する仕組みとしてGoogle for jobsが始まりました。

 

Google for jobsの利点 

この仕組みの優れているところは、例えば「自宅の近くの仕事」を探したい場合、従来であれば求人情報の就業場所を確認し、自宅からの距離や通勤手段や時間を自分で調べる必要がありました。これが最初から自宅近くの仕事のみを表示してくれます。

 

また、求人情報は日々更新、改廃されます、例えば後日、自分の希望にマッチする求人がサイトに掲載されると、その情報をメールで知らせてくれるので、常に自ら求人情報を追いかける必要もなくなります。

 

| 日本導入で起きる変化

では、実際にこのサービスが日本で利用できるようになると、どのようなことが起こるでしょうか。長期的に見ると、今の転職市場の在り方そのものが大きく変わる可能性を秘めています。

 

従来の求人サイトでは、より多くの求職者にサイトを見てもらうこと、すなわち利用者の数を増やすことで、マッチングする確率を高めていくという仕組みでした、その為に、テレビコマーシャルなどのメディアを使い露出を高めることで、サイト利用者数を増やしていました。

 

しかし、Google for jobsでは、この利用者の数を増やす必要はありません。もともとGoogleを利用して検索をする人の数が、月間5000万人弱いますので利用者は十分です。

 

と、同時に主導権を持つのが、求職者ひとりひとりになります。

 

例えば、自宅周辺の仕事を検索した場合に、どの求人サイトの情報が表示されるかは、求職者の住所という個人的な要素によって左右されるようになります。尚且つ、求職者の希望にマッチする情報を、膨大な求人情報の中から選りすぐって表示してくれるので、今までは、見向きもされなかった求人情報に日の目があたることにもなります。

 

大手求人サイトを運営している企業にとっては、ビジネスモデルが成り立たなくなる危険性があり、逆に弱小サイト運営会社や、採用に苦戦していた企業にとってはチャンスが拡大します。

 

また、求職者の立場からすれば、複数のサイトを確認し情報を自分なりに精査していくという面倒な手間が一度で済むので、こんなに楽なことはありません。

 

言い換えると、採用する側が力を持っていた買い手市場から、求職者が求人している企業を選ぶ売り手市場の流れが加速すると考えられます。

 

労働力人口が減少傾向にあり、中小企業の74%が人手不足である日本において、社員確保に企業の人事担当者が頭を悩ませている昨今、このGoogle for jobsという黒船は、日本の求人・求職市場にどのような影響を与えていくのか、これからの動向に注視し見守っていきたいと考えます。